2019年12月に出版された、浅田次郎の時代小説です。
時代は江戸末期、借金が積もり積もること200年、多くの藩の財政は火の車。
そんなある藩では、自分は隠居し、返しようもない借金を御家を継がせた若殿に
押し付け、大名倒産を目論む先代がいました。
倒産の暁には、若殿の切腹でことを済ませようとする先代と、
何とかして藩の財政を立て直そうとする若殿との結末はいかに?
とても面白い本でした。
もうひとつ面白かったのが「断る」。
これは、藩にお金を貸していたり、売り掛けのある商人を屋敷に集め、
広間に集まった皆の前に殿様が現れ、一言「断る」と宣言すれば、
全ての債務を帳消しにするという、伝家の宝刀です。
勿論、信用や評判にかかわるので、しっかり根回しをした後で行う、
最後の手段ではあります。
友人が送ってくれた時計の資料、美しい文字盤にため息が出そうです。
これは今年3月に開催された、スイスの高級時計見本市「バーゼルフェア」に
出品された日本人時計師,牧原大造さん(40)の作品、「菊繋ぎ紋 桜」です。
厚さ0.5mmのガラスの文字盤は、江戸切子の技術でカットされた
精緻な菊模様。
この時計の美しさと繊細な技巧とともに話題を呼んだのが、
全世界で37人の、スイス独立時計師アカデミー準会員に選ばれたことです。
牧原さんはすでに正会員となっている2人に続き、日本人3人目の
独立時計師として入会を認められたそうです。
今後、作品を発表し続け、力量が認められると正会員に昇格します。
高級時計の裏側は、このようにスケルトンになっていることが多く、
彫金が施された、一つ一つの精緻で美しい部品を愛でることができます。